韓国研究財団土台 研究支援事業 Institute of Japanese Studies Dankook University

- 2014年度助成 韓国研究財団 土台研究支援事業 -

研究題目

脱民族主義的関係定立のための韓・中・日、東アジア三国の神話資料集成 データベース構築と電子文化地図作成

研究期間

2014年9月1日~2017年8月31日

研究概要

東アジア三国は、国家成立以前から現在に至る数千年間いろいろな分野で相互に影響を与えながら有機的・躍動的で多様な文化を形成してきたという点で、東アジア三国の相互交流はその関係の範疇が広範囲で多様であると言える。それにもかかわらず、東アジア三国は各々置かれた位置と状況によって互についての対応と評価が異にして来、その状況は現在まで続いている。東アジア三国の文化の性格は、国際的な力関係によって単純にある一国を中心に裁断できる性質のものでは決してない。それは前述したように、近代帝国主義時代以前まで東アジア三国は緊密な相互交流を通した文化の受容と伝播によって共同文化圏域の普遍文化を習得し、それを基に自国の文化的進歩を果たしたからである。

東アジア三国の文化交渉の様相を根本的に見せるものが、まさに神話である。東アジア三国の神話は多様な共通点をもっている。収録文献と人名・地名、登場人物と内容などから確認できる多様な共通点は、東アジア三国の神話についての正しい解明は相互主義に立脚した比較研究を通してのみ可能であることを見せている。

ところが、東アジア三国の神話のこのような特性にもかかわらず、現在に至るまで東アジア三国の神話に関する研究は、特定の一国、特に自国を中心として進められ、東アジア三国全体をまとめた視角に乏しくならざるを得なかった。このような研究傾向は西洋オリエンタリズムの克服過程において現れた民族主義の結果で、現代の新しい政治・経済的覇権主義と結合して東アジア圏域のなかで多様な紛争をひき起こす原因となった。このような現況は、近代帝国主義時代以前の東アジア圏域文化の形成と発展を客観的な視角で眺められなくするだけでなく、現在を歪曲する根拠として作用することにもなる。このような状況は、個別国家の次元を越えて東アジア圏域全体の未来のためにも、必ず克服されるべき課題である。

本研究課題は、韓国・中国・日本の東アジア三国の文献資料の中に存在する神話関連資料等を集成して東アジア三国の神話資料データベースを構築し、これを基に電子文化地図を作成し、東アジア三国の神話の内容と分布現状、影響関係を客観的に確認できるようにし、さらに、この電子文化地図を基に民族主義的な視角を克服する新しい東アジア談論と関係を形成できる資料を提示することを目的とする。特に、データベースを通して分類・整理された東アジア三国の神話資料は、記録された資料を通して神話記録当時の意識と環境、生活と文化が見せるという点から、原文を基にした価値中立的な評価を可能にするのである。このような点で東アジア三国の神話資料データベース構築は、何よりも重要な意味を持つといえる。

研究成果

3年過程で進められる研究課題にあって、研究1年目に該当する2014年9月から2015年8月までは、基礎段階として研究の基礎を構築する期間である。まず、研究チームを構成し、提案書に提示してある研究の内容を再検討して細部的かつ具体的な研究計画を完成させた。また、本研究で取り扱う基本検討対象資料を確定し、必要に応じて追加資料を発掘して整理した。研究方法と資料を確認および検証するためには、各研究員が統一された基準によって一糸乱れず作業を遂行しなければならないので、そのための研究方法と資料確認および検証方法を統一する過程を経た。このような過程を基にデータベースを設計・構築するとともに、本研究チームの研究成果を学界で共有するための学術大会を開催して、本研究チームの研究成果を集約した研究論文を提出した。研究1年目の研究内容を整理すると下記の通りである。

段階 年次 研究内容
基礎段階 1年目
研究基礎の構築
1) 研究チーム構成と細部研究計画の完成
2) 基本検討対象資料の確定
3) 研究方法と資料確認および検証方法教育
4) 研究対象資料の検討
5) 追加資料の発掘・整理
6) 学術大会開催
7) 研究結果を集約した研究論文を提出
8) データベース作業設計および構築

以上の研究内容は、次のように細部研究推進計画によって遂行した。

1次年度課題目標 基礎段階-研究基礎の構築
期間(推進年月) 内 容 備 考
2014. 09. - 研究チーム構成・細部研究計画完成
2014. 10. - 基本検討対象資料確定
2014. 11. - 研究方法と資料確認および検証方法教育
2014. 12. ~ 2015. 01. - 韓国の文献資料を中心とした検討資料を対象に神話関連資料の様相の把握・整理
2015. 02. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象に、神話関連資料の様相の把握・整理
- 日本出張を通した資料発掘と内容確認
- データベース構築のための設計作業
2015. 03. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象に、神話関連資料の様相の把握・整理
- 学術大会開催準備
- 新しい資料の発掘と内容確認
- データベース構築のための設計作業
2015. 04. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象に、神話関連資料の様相の把握・整理
- 整理・分類した項目についての先行研究の検討および目録作成
- 学術大会開催準備
- 新しい資料の発掘と内容確認
- データベース構築のための設計作業
2015. 05. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象として神話関連資料の様相の把握・整理
- 整理・分類した項目についての先行研究の検討および目録作成
- 学術大会開催準備
- 新しい資料の発掘と内容確認
- データベース構築開始
2015. 06. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象として神話関連資料の様相の把握・整理
- 整理・分類した項目についての先行研究の検討および目録作成
- 新しい資料の発掘と内容確認
- 檀国大学日本研究所2014年度韓国研究財団土台基礎研究第1次学術大会
   主題 :韓・中・日東アジア神話の文化的交差と展望
   日時 :2015年06月13日(土)13:20~17:50
   場所 :檀国大学退溪記念図書館セミナー室
   主幹 :檀国大学日本研究所土台課題事業チーム
- 学術大会を通して提示された研究結果物発表
- 年次報告書作成および提出
- データベース構築
2015. 07. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象に、神話関連資料の様相の把握・整理
- 整理・分類した項目についての先行研究の検討および目録作成
- 新しい資料の発掘と内容確認
- データベース構築
2015. 08. - 韓国・中国・日本の文献資料を中心とした検討資料を対象に、神話関連資料の様相の把握・整理
- 整理・分類した項目についての先行研究の検討および目録作成
- 新しい資料の発掘と内容確認
- 2次年度課題遂行準備
- データベース構築

研究責任者

鄭灐

鄭灐

専任研究員

楊沅錫

楊沅錫

李京和

李京和

鄭堤號

鄭堤號

共同研究員

魯成煥

魯成煥

宣釘奎

宣釘奎

尹載煥

尹載煥

崔元午

崔元午

李權熙

李權熙

金京姬

金京姬

研究員

林勤實

林勤實

崔升銀

崔升銀

研究補助員

劉珍熙

劉珍熙